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「鍼灸師になって、自分の施術所を持ちたい!」と考えている人は多くいるのではないでしょうか。しかし、鍼治療に関する知識を持っていても、“開業・独立”に関する知識はそこまで…という人も多いでしょう。
そこで今回は鍼灸院を開業するために必要な知識や準備を徹底的に解説していきます。
鍼灸院を開業するために必要な3つの準備
ここで紹介します3つの“準備”とは開業前に立案したり把握したりしておかなければならないことになります。ただ単純に「開業・独立したい!」だけで進めてしまうと、借金を背負いかねません。
きっちりと物理的な準備と心の準備をしておきましょう。
鍼灸院を開業するために必要な準備① 開業権=はり師・きゅう師の資格取得
そもそも医療関係の業務での開業は、誰もがそれをして良い訳ではありません。これはごく普通なことで、国や行政機関の許可なしに医療行為をするということは患者に正当な治療をしない治療院が出てきたり、格安な分リスクが高い治療が出たりなど様々な問題が出てくるからです。いわゆる闇医者というものですね。
ですから医療系の業務での開業をする際には「開業権」というものを取得する必要があります。法律関係の話なので少し難しい部分もありますが、省略せずに解説いたします。
(すでに学習されている方は、次の「規定、必要書類などの理解と把握」まで飛ばしてしまいましょう。)
主にあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師としての業務、義務に関して規定している。以下に主な規定を概説する。
第1条 あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師の免許
医師以外の者であん摩、マッサージ、指圧、はり、きゅうを行う場合は免許を必要とする
第3条 相対的欠格事由
心身の障害、麻薬、大麻、あへん中毒、罰金以上の刑に処せられたもの、第一条に関する犯罪、不正を行ったもの
第3条の2 登録
あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師の名簿の登録
第3条の3 免許証の交付
あん摩マッサージ指圧師国家試験、はり師国家試験、きゅう師国家試験に合格した者の申請であん摩マッサージ指圧師名簿、はり師名簿、きゅう師名簿に登録され、厚生労働大臣が免許を与えた時は免許証を交付する
第7条 施術所の広告の制限
第7条の2 守秘義務
第12条 医業類似行為の停止または禁止
何人も、第一条に掲げるものを除く外医業類似行為を業としてはならない。ただし柔道整復を業とする場合については柔道整復師法の定めるところによる。
引用元:あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆ師等に関する法律
法律なので少し難しいですが、要約すると“国家資格を持っていないと鍼灸治療をしてはならない”、“国家資格を取得している鍼灸師には開業権が認められている”ということです。
また、施術所=鍼灸院に関する細かな規定(施術室や待合室の広さ)もあります。店舗の規定に関しては“必要な準備②”に記載しますので、そちらを参照してください。
鍼灸院を開業するために必要な準備② 規定、必要書類などの理解と把握
法律や書類関係は詳しい方に任せたり、コンサルティングをしたりするのが手っ取り早いですが、大枠は知っておいたほうが良いです。特に“構造設備基準”に準じて賃貸契約、もしくは自宅が施術所にすることができるので確認しておきましょう。
■構造設備基準
①施術室について
・6.6平方メートル以上の専用の部屋であること。
・専用性確保のため、他の部屋とはパーテーション等で完全に区切り、出入り口も扉が設置されていること。
・施術室面積の7分の1以上を外気に開放できていること。または、施術室内にこれに代わる換気装置があること。
・「あんま・マッサージ・指圧、はり、きゆう」の施術所と「柔道整復」の施術所を併設する場合、上記の条件を満たした専用の施術室が必要となる。
②待合室について
・3.3平方メートル以上であること。
・「あんま・マッサージ・指圧、はり、きゆう」の施術所と「柔道整復」の施術所を併設する場合、兼用でも良いがそれらの施術室に直接通じていること。
③受付について
・受付は待合室、施術室どちらに設置しても良いが、施術室内に設ける場合は施術室の専用性を行わないこと。
こちらの構造設備基準は大阪市の資料になります。つまり、開業する場所によって留意事項が変わってくるということになります。ただ、どこも数値としてはほぼ同じでした。だいたいこのような規定があると理解しておきましょう。
*開業の際は必ず各地域の留意事項を調べてください。
■開設届に必要な書類
①提出書類
・施術所開設届2部
②添付書類
・施術所の免許の写し(原本の照合をするため、本証を持参)
・施術所の平面図(施術所・待合室の各面積およびその区画、外気開放部分、換気扇位置、施術用器具、消毒設備の配置箇所を記入)
・施術所への案内図
・開設者が法人の場合、定款等の写し及び登記事項証明書
*「あんま・マッサージ・指圧、はり、きゆう」の施術所と「柔道整復」の施術所を併設する場合、それぞれ別の開設届の提出が必要。
新宿区の規定を引用し書かせていただきました。前述した、大阪市の規定と比べたところ、提出書類に関する違いはありませんでした。ただ、他の地域まで確認はしておりませんので、こちらに関しても各々確認をお願いいたします。
また、これらの参考元を見ていただければわかる通り、“名前”に関する規定や、備品に関する規定もあります。詳しい内容は開業しようと考えている地域の規定を調べていただいた方が正確です。
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鍼灸院を開業するために必要な準備③ ビジネスプラン
ここまで、規定や提出書類などの“開業する人全員がしなければならないこと”であるので考える必要はありません。しかし、“ビジネスプラン”を考えることこそが最も重要な作業になります。
ターゲットから集客方法、差別化、プロモーションなどいわば“国家資格”の取得よりも分野であります。ここではビジネスプランを考えるに当たって最低限しなければならないことを紹介します。
■課題の発見
課題の発見というのは鍼灸治療で解決できることよりも、場所、年齢、施術所の雰囲気、痛みなどの別のポイントのことです。世間一般の鍼灸治療に関する知識はまだまだ低いのは確かですが、それを謳い文句にしても他の鍼灸院と同じになってしまいます。
ですから、他とは違う“強み”を持つ必要があります。そうすることによって「そこに通わなければならない理由」ができるのです。
しかし、これをアイディアから考え始めると開業まで時間がかかってしまいます。そこでおすすめなのが“課題の発見”です。課題の発見し解決の手段を考えることはそのまま“差別化のポイント”、“ニーズへのアプローチ”などになります。
まずは、課題を発見し、鍼灸院を開くことで何を解決できるのかを考えることから始めると良いでしょう。
■集客の方法
鍼灸院にしろ、不動産会社にしろお客様が来なければ何も始まりません。ですから、“知ってもらう方法”について徹底的に議論する必要があります。最近だと、SNS集客であったり、ブログ集客であったりとwebマーケティングがどんどんと伸びてきています。
また、地域密着型であれば広告やチラシを配ることも集客の一つでしょう。ターゲットの目を引くような“強み”と“キャッチコピー”でビジネスとして成立させていくことが重要です。
集客・経営に関する勉強も怠らないようにしましょう!
鍼灸院の開業にかかる費用
やはりコスト面は一番気になると言っても過言ではないでしょう。また、弊サイトで開業時の備品セットを購入することができますのでよろしければ確認してみてください。
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費用① 店舗物件を借りるのにかかる家賃・敷金・礼金
開業する場所にもよりますが、「構造設備基準」を加味すると少なくとも家賃10万円以上は必要になってきます。また敷金、礼金は家賃一ヶ月分が相場ですので、店舗を借りるだけで初期費用はだいたい50万円以上はかかってくるでしょう。
都内や名古屋、大阪などの人が多い場所に開業すれば、集まる可能性が高いものの、家賃が高いことは明らかです。一方、鍼灸院を利用する年齢層を加味した場合に「果たして都市近郊が良いのか」、「“強み”を活かすにはこの場所が良い」などの条件も大きく関わってきます。
店舗借用のためのコストというのは前条件を完璧にしてから決めるのが良いでしょう。
費用② 広告宣伝費
集客の方法にもよりますが、例えばオウンドメディア(自社ウェブサイト、ブログのこと)を運営するとなると数十万円/月、パンフレット作成であれば20万弱ぐらいになってきます。
広告宣伝費も「ターゲット」や「どれくらいの数集客したいのか」に大きく関わってきますので具体的な数値を出すことは難しいですが、余裕を持って50万円くらいを見積もって置くと良いでしょう。
広告の出し方によって、お客様の属性が大きく変わってくるので広告に関する知識を身につけるか、プロに頼むかなどの吟味が必要でしょう。
費用③ 備品・消耗品などの設備投資
基本的な備品・消耗品は
・ベッド ・ステンレスワゴン ・鍼 ・お灸 ・消毒 ・バスマット ・フェイスマット ・綿花 ・シャーレ ・マスク ・患者着 ・フェイスペーパーなどです。
他にもお客様の情報管理のために、カルテや診療カードを作成したり、パソコンを使った情報処理などが必要になってきます。
これらを合わせるとだいたい60万円以上はかかってきます。他にもプレオープンなどをしていく中で必要になってくる備品や消耗品は必ず出てきます。設備投資の予算は多めに計算しておくのが無難でしょう。
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まとめ
日本は西洋医学が採用されているため、東洋医学である“鍼灸治療”というのは認知度がまだまだ低い治療法です。
その中でビジネスとして成り立たせるためには準備や検証を徹底的にしなければなりません。鍼灸師としての視点だけでなく、経営者としての視点が必要です。情報をたくさん仕入れ、お客様に質の高いサービスを提供できるように試行錯誤しましょう。