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鍼灸師の国家資格を取得するために血の滲むような努力をし、開業・独立を目指して必死に頑張ったのに、借金を抱えるくらいの失敗をしてしまった方というのは非常に多くいます。
やはり、やる気や動機だけでは成功させることができないというのが“ビジネス”ですよね。
そこで今回は、どのような原因で開業・独立を失敗しているのかを把握し対策を立てることでこれから開業しようという方、開業したがうまく回せていない方の悩みを解決していきます。
鍼灸院を開業したのにも関わらず失敗する3つの原因
重要であるのが「失敗の定義」です。ここでは「失敗」を“赤字経営”になってしまっている、“お店を閉めた”の2つとしています。
まずは根本的な解決をし、経営に余裕が持つことができるような状態を目指していきましょう。
失敗の原因① リサーチが不十分
“リサーチが不十分”で失敗してしまうことは鍼灸院の開業だけに関わらず、全ての物事に言えることです。
何かの分野で競争するとなったときに敵や相手の分析をし、それに対抗する手段を編み出さなければ勝つことはできません。それが、なんども競争をすることのできる競技であれば、失敗から学び成長することはできるでしょう。
しかし、独立し開業するのというのは資金力に大きく左右され、失敗したあとに復活できないことの方が圧倒的に多いです。ですから、まずはリサーチを徹底的に行わなければなりません。
こちらのグラフをご覧ください。
引用:厚生労働省
1つ目のデータからわかる通り、平成10年から平成26年にかけて施術所の数はどんどんと増え、平成26年には約4万5千箇所。また少し見にくいですが、2枚目のデータの平成28年の施術所の数を合計すると約13万箇所となります。
さらに、2つ目のデータの「はり・きゅうを行う施術所」のみ平成26年から28年にかけて増減率が10%超えとなっており、これだけでも競合が多いということがわかりますよね。
これらより、「参入が難しい」という結論に持ってくることは簡単です。しかし、逆に考えれば成功しているところのリサーチを徹底的にすれば共通項が見え、自分のビジネスに応用ができるとも言えます。
やはり、どこまでいってもリサーチです。現場やネットにデータはたくさん転がっているので細部まで徹底的にリサーチしましょう。
失敗の原因② 課題の発見、差別化ができていない
ビジネスを進める段階として、「徹底的にリサーチし成果を出しているお店を徹底的にパクる」、つまり“失敗の原因①”で紹介したことを実践することが最初の段階になります。
というのもビジネスの初心者がいきなりオリジナルの要素だけで勝つ確率というのは非常に低いからです。ですから、まずは“失敗の原因①”で学んだことを徹底しましょう。
そして、次の段階がこの“課題の発見と差別化”です。例えば、「若者の居住者が少なく(高齢者の割合が高い)JRと地下鉄が交わる地域にも関わらず、接骨院や鍼灸院がない」。これは課題というより問題かもしれないくらい極端な例ですが、ニーズがとてもありそうですよね。
例えば、「高校や大学などの教育機関が多い場所」というのも課題が発見できそうです。この2つの例は地理的な条件を前提として考えましたが、ターゲットに焦点を当てたり、施術所の中身に焦点を当てたりして考えることもできます。
ですが、実際のところ、これらもリサーチありきの話になってきます。というのも課題を発見する方法は“リサーチ”をすることだからです。人口や男女比、年齢などのデータ、実際に街の治療院に通ったり、居住者にヒヤリングをしたりすることなどもリサーチですよね。
「課題の発見」は現場のリサーチから生まれることが多いのでその中で意識して考えられると良いでしょう。
失敗の原因③ 仕組み化、自動化できていない
鍼灸師1人で経営している治療院は非常に多く、こなさなければならない作業は多いことでしょう。特に、治療院をオープンする際は忙しいと思います。“作業が多すぎて手に負えなくなった”のも失敗の原因の一つになるのではないでしょうか。
そんな時に重要なのが“仕組み化・自動化”です。例えば無料で使うことのできる会計ソフト“freee”を利用して日々の会計処理、経理を楽にしたり、受付業務をiPadに任せたりなど、インターネットやIoT製品を活用することでタスクが減ります。
もちろん、人を雇うというのが一番手っ取り早いですが、売上が安定してからの方が良いです。どんなに小さなことでも自動化し、まずは1人でできる最大限の経営をしましょう。まずは“小さく始めること”が重要なのです。
鍼灸院を開業するまでのコストと開業してからのコスト
すでに鍼灸師の方も、まだ鍼灸師でない方もどれくらいのコストがかかっているのかを知るべきです。というのも、業界の細かな数値を知っておくことで自分の市場価値を測ったり、合理的な料金設定ができるようになるからです。
収入よりもまずはコストを知り、市場にあった物差しを持ちましょう。
鍼灸院を開業するまでに発生する費用
開業するまでに発生する費用に関しては“鍼灸院を開業するために必要な3つの準備とは!? 費用からサポートまで徹底紹介!”に詳しく書いてあるのでここでは簡単に解説いたします。
①店舗物件を借りる場合(初期費用) → 50万円以上
施術所の広さや換気設備などには規定があるので、それらを加味した物件を借りるとなると初期費用は50万円以上が相場となっています。都市近郊や駅近など場所によって料金は大きく変動します。
ただ、改装するとなると初期費用は50万円程度では済みません。以前、別の治療院として利用されていた物件をすぐに契約できるように不動産屋と仲良くなっておくことは最重要です。
②広告宣伝費 → 約20万円
パンフレット型の広告をデザインから印刷まで全て任せると15万円から20万円強、Web集客となると月あたりの計算となりますが、初月分と計算しても約20万円はかかるでしょう。
③備品・消耗品費 → 約30万円
ベッドの数によって変動してくるコストであります。メイプル名古屋では備品・消耗品をセットで販売していますので、より具体的な値段の参考になるでしょう。こちら
④その他 → 多めに見積もって約50万円
法人化前であれば、登記するのに費用がかかりますし、コンピューターやソフトウェア、ウォーターサーバーなどより快適な空間を作ろうとすると費用はかかります。いずれにせよ多めに見積もっておくのが無難でしょう。
①〜④を合計すると 約150万円となります。
これは開業するのに最低限のコストです。コストからビジネスプランを考えるのではなく、ビジネスプランを優先できるように資金に余裕を持つことが重要です。
鍼灸院を開業してから発生する費用
①家賃 → 20万円以上
②広告宣伝費(Web集客など月額制のもの) → 約10万円
③消耗品費 → 5~10万円
①から③を合計すると 40万円になります。
もちろんこれも推定金額になりますので場所や営業方法によって大きく変動します。しかし、初月にお客さんを呼べず利益をあげることが出来なかったとしても、コストは一定量発生します。
やはり、売上を継続的に見込めるような、ビジネスプランを立てる必要があります。そのために徹底した“リサーチ”をするのです。「とりあえずやってみよう」ではいけません。
鍼灸師として独立・開業する2つの方法
鍼灸師として独立方法は店舗をもつだけではありません。自分の資金力や、ターゲットにしたい年齢層などを加味して考えると良いでしょう。
店舗型
一般的に“開業・独立”と聞いて連想されるのが「店舗型」であると思います。ここまで紹介してきました通り、基本的には“オフライン”を中心にリサーチをしたり集客をしたりします。
少子高齢化が進む地域がどんどんと増えてきているのでそれをターゲットに施術所を建て、常連のお客さんを集めるのが主な手法になるでしょう。
ただ、オフラインが中心の分、ビジネスを展開しようとなると壁になる部分が多かったり、コストがかかったりすることがあります。
メリット、デメリットの理解はもちろんのこと、すでに開業している方のお話を聞くのも良いでしょう。
訪問型
店舗を持たず、治療セット一つで働くのがこの“訪問型”になります。店舗に足を運ぶことの出来ないお年寄りの方や近くに鍼灸院がない方をターゲットとして治療をします。
店舗型と異なり、コストは消耗品費くらいなので大きくはありません。しかし、オンラインを中心に集客するとなると、認知されるのは少し難しいですし、遠方への治療となると1日に行うことのできる治療が減ってしまいます。
もちろん、交通費などを含めた往寮費を請求することができるので日給としては問題はないと思います。根本的にはなりますが、自分が「どのような鍼灸師になりたいのか」を見つめ直すことで業務の形態が決まってくると思います。
ビジネスプランもそうですが、自分の内面ときっちり向き合うことも独立を成功させる大きな要因になるのです。
鍼灸師として開業・独立し成功させるための秘訣
ここまでどのような原因で失敗しているのか、また、どれくらい厳しい世界であるのかを紹介しました。しかし、高齢化がどんどん進んでいることは間違いなく、ニーズも高まることが予想されます。
鍼灸師として、ビジネスマンとして日本に価値を提供できるように以下のことを心がけましょう!
①ビジネスの視点をきっちりと持つ
“ビジネスの視点をきっちりと持つ”
資格取得から独立という方は基本的にビジネスに関して素人であります。もちろん、サービスの内容や個人のやりたいことは非常に重要です。
しかし、「お金」がきっちりと循環していなければそれらはむしろ、日本のお荷物となってしまいます。ですから、ここまで紹介してきた「失敗」をしないようにビジネスとしての視点や思考を常に持ち続けるようにしてください。
特に集客の部分は気を使わなければなりません。そもそもお客様が来ないと何も始まらないからです。
なんども述べてきていますが、他社はどのような戦略で経営しているか、その地域では何が求められているのかなどを“リサーチ”をし、お客様のニーズに答えられるようなサービスを展開していきましょう。
②常に変化=改善することを心がける
“常に変化=改善することを心がける”
ビジネスに攻略法というものは存在しません。なぜなら、世の中は常に変化しているからです。ですから、自分も常に変化し続けなければなりません。
例えば、「この前まではこの広告で人が集まっていたのに今はなかなか集まらない」だとか、「ターゲットを若者で始めたのに、意外と中年の方が集まる」だとか、思い通りになることは少ないものです。
もちろん、“リサーチ”を怠って良いという訳ではありません。というのも変化後に「この手法を持って来れば今の流れにあっている」というのが“リサーチ”を徹底的に行ったことで見えてくるようになるからです。
推測して行い、うまくいけばそのまま続ける、失敗したのであればその結果から評価・改善を行い次の計画に変化をつける。このようにして、お客様・世の中に対して良い形を保つと良いでしょう。
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まとめ
いかがでしたでしょうか。開業や独立をするのが不安になってしまった方も多いかもしれません。しかし、やめなければ失敗となることはありません。というのも、最初に述べたとおり、「お店を閉めた」ということを失敗の定義においたので、経営し続ければ失敗とはならないのです。
つまり、現状が厳しくても改善をすれば良いだけの話であるということです。それは簡単ではないかもしれませんが、コンサルティングなどのサービスをうまく活用し、最短距離で成功に近づけるように行動を続けましょう。