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皮内鍼という鍼をご存知でしょうか。
皮内鍼は肩こりに効果的と言われている鍼でデスクワークの多い方やスポーツ選手にも愛好家が多いそうです。
そこで今回は、皮内鍼とはどのようなハリなのかについて解説するとともに、その利用法や注意点、また通常のハリ治療との違いなどについて紹介したいと思います。
皮内鍼とは
皮内鍼(ひないしん)とはその名の通り、皮膚の内側に刺すタイプのハリのことをいいます。
鍼灸の施術では長いハリを使いますが、皮内鍼には3mmや5mmといった短いハリが用いられます。では、皮内鍼とはどのようなハリなのかについて見ていきましょう。
置き鍼の一種
皮内鍼は置き鍼(おきばり)の一種です。一般的な鍼治療は、気になる場所に鍼を刺すのですが、皮内鍼は鍼を刺したまま10分程度放置しておき、症状を改善していきます。
一般的な施術に用いるハリは長いので、皮膚だけでなく筋層に達することがあります。そのため、ハリを刺したまま動くことができません。また被施術者をあまり長い時間放っておくわけにもいきません。
そこで昭和の初めに赤羽幸兵衛(あかばねこうべえ)という鍼灸師によって、皮内鍼が生み出されたのです。皮内鍼のハリはとても短いので、身体に刺したまま動くことができる訳です。
円皮鍼との違い
皮内鍼とよく似たハリに、円皮鍼(えんぴしん)と呼ばれるハリがあります。皮内鍼と同じく、皮膚に刺して数時間から数日放っておけるタイプのハリです。
皮内鍼と円皮鍼の最大の違いは、テープがついているかどうかです。皮内鍼は針先の反対側が丸くなっており、そこにテープを貼るように作られています。
一方、円皮鍼には始めからテープが付いているので、台紙からはがして使うこととなります。
また、皮内鍼と円皮鍼では刺し方も異なります。
皮内鍼はハリとテープが別々になっており、皮膚と水平に刺します。垂直に刺してしまうと動いたときにチクチク痛むので注意が必要です。
一方、円皮鍼は皮膚と垂直に刺します。皮内鍼は皮膚と水平に刺すため、ほとんど痛みを感じることがありませんが、円皮鍼は上手に刺さないとチクチク痛むことがあります。
皮内鍼と通常のハリ治療の違い
ハリを刺す深さ
皮内鍼と一般的な治療の最大の違いは、鍼が到達する深さにあります。皮内鍼は皮膚と平行に刺すことからも分かるように、非常に浅い場所を刺激します。
一方、鍼灸の施術で用いられる鍼は30mmから40mmと長く、筋層にまで達することもあります。そのため、扱いには細心の注意が必要です。
ハリを指す時間
皮内鍼と通常のハリ治療では、鍼を刺している時間も異なっています。通常のハリ治療の場合、ハリを刺したらすぐ抜くか、数分から10数分ほど放置するのが一般的です。
一方、皮内鍼の場合は皮膚に刺したまま数時間から数日ほど放置してかまいません。その間、身体のツボなどに刺激を与えられ続けるのです。
資格の要否
皮内鍼と一般的な鍼治療の違いには、資格の要否もあげられます。人の身体にハリを刺す行為は、国家資格者である鍼灸師にしかおこなうことができません。
一方、皮内鍼を自分に刺すのであれば、無資格者であっても可能です。ただし、人の身体に皮内鍼を貼るのであれば、やはり鍼灸師の資格が必要となります。
皮内鍼のメリット
簡単に利用できる
皮内鍼は、簡単に利用できます。鍼の反対側が丸くなっているので、そのまま皮膚に入ってしまうこともありません。
ツボに詳しくなくても、なんとなく身体のこっている場所や、筋肉が硬くなっている場所に刺すだけでOKです。
*使用上の注意を熟読し利用するようにしてください
痛みがほとんどない
皮内鍼を刺入しても、痛みが出ることはほとんどありません。一般的な鍼治療の場合、刺す場所に溜まっているストレスや鍼灸師の技術によっては痛みの出るケースもあります。
一方、皮内鍼は皮膚と平行に刺すタイプの鍼なので、痛みがほとんどありません。そのため、鍼治療が苦手な人や、身体に鍼を刺すのが怖いという人にもおすすめです。
危険性が低い
危険性が低いのも皮内鍼のメリットの1つです。皮内鍼のハリはとても短いため、身体の深くに刺さることがありません。そのため、安全に用いることが可能です。
効果が持続する
効果が持続性も皮内鍼のメリットの1つです。一般的な治療の効果ももちろん持続するのですが、皮内鍼を貼り続けていれば、持続的な効果が期待できるのです。
皮内鍼を刺す際のポイント
皮内鍼は自宅で簡単にツボを刺激できる便利なアイテムですが、刺す際には以下のようなポイントがあります。
皮膚と水平に刺す
皮内鍼は円皮鍼や鍼灸治療のハリと違い、皮膚と水平に刺すという特徴があります。非常に小さいハリなので、ピンセットを利用するとよいでしょう。
テープで固定する
皮内鍼は円皮鍼と異なり、テープがついていません。そのため、あらかじめ5mm四方程度のテープを用意しておき、ハリの上から固定しましょう。
皮内鍼を利用する際の注意点
取り扱いに気をつける
皮内鍼を利用する際には、取扱いに気をつける必要があります。皮内鍼はとても小さなハリなので、床に落とすなどすると見失ってしまう恐れがありますので注意しましょう。
子供やペットに注意する
皮内鍼を利用する際には、子供やペットに注意することも重要です。特に赤ちゃんは何でも口に入れてしまうので、赤ちゃんの手の届く所に置かないようにしましょう。
また、ペット、特に犬を飼っている場合、皮内鍼を誤って口に入れるケースもあるのですが、飼い主に貼られているテープを舐めとってしまう恐れがありますので注意です。
かぶれたらすぐに取る
皮内鍼はテープで固定して利用するのですが、長時間貼っていると、人によってはかぶれるケースもあります。そのような場合はすぐにはがすようにしましょう。
皮内鍼を刺すのにおすすめのツボ
皮内鍼はこっている場所に刺しても良いのですが、より体の内側に効果をもたらしたいのであればツボに貼ることをおすすめします。そこで、皮内鍼を刺すのにおすすめのツボを紹介します。
肩井(けんせい)
肩井は肩こりのツボとしてよく知られています。両方の乳頭からまっすぐ上にあがったところ、肩の一番高い点にあります。東洋医学的には高血圧や冷えのツボでもあるということです。
合谷(ごうこく)
合谷のツボは、東洋医学の世界では万能穴(ばんのうけつ)としてよく知られています。手の親指と人差し指の付け根のあたりを小指側に向かって押すと、鋭い痛みを生じる場所があると思います。
その場所が合谷です。合谷は頭痛や肩コリがあるときや、鼻や目の痛みがあるとき、風邪のひきはじめなどに刺激すると良いとされています。
膏肓(こうこう)
膏肓は肩甲骨の内側、ちょうど真ん中あたりにあるツボです。皆さんの中には、「病膏肓に入る(やまいこうこうにいる)」ということわざを聞いたことのある方もいることと思います。
膏肓のツボで気血が滞っていると、眼がかすんだり耳鳴りがしたり、鼻が詰まったり歯茎が腫れたりするといわれています。そんなときには膏肓のツボを刺激すると良いでしょう。
大腸兪(だいちょうゆ)
大腸兪はちょうどベルトの高さにある腰のツボで、腰骨から指の幅2本分外側(左右)にあります。腰痛や便秘のツボとして知られています。
足三里(あしさんり)
膝のお皿の下から外側に向かうと骨の出っ張った部分がありますが、そこに人差し指を当てたとき、小指のあたる部分が足三里のツボに当たります。足の疲れや胃の疲れがあるときにおすすめのツボです。
三陰交(さんいんこう)
三陰交のツボも、脚の疲れによいとされます。うちくるぶしに小指を当てたとき、人差し指のあたる場所が三陰交のツボに当たります。生理痛を和らげる効果も期待できます。
まとめ
皮内鍼は簡単に扱うことが出来て、とてもリーズナブルです。そのため、一般の方からも人気のアイテムとなっています。
凝っている場所に刺しても良いですし、ツボを刺激するのもおすすめです。ぜひ、一度試してみてはいかがでしょうか。