鍼灸院を開業すれば、広告を打って集客しなければなりません。
しかし、鍼灸院の広告には色んな制限があるようです。
具体的にどのような制限があるのか、どんな言葉を使ってはいけないのか見ていきましょう。

□あはき法とは

鍼灸院などの広告を規制する法律は「あはき法」と呼ばれます。
あはき法とは、「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律」の略称です。あはき法は、ひと口で言いますと医業類似行為を規制する法律です。
具体的には、あん摩、マッサージ、指圧、はり、きゅうなどを規制するものです。
本来、医業に該当する行為は、医師法により医師以外は行ってはいけないとされています。医業は、医学に基づき医師の専門知識や技能を必要とする行為なので、医学の専門知識や技能を持たないと行えないものです。
そのため、あはき法に定める療法には、様々な規制が設けられているのです。
また、同様の趣旨により、あはき法ではあん摩、マッサージ、指圧、はり、きゅうに関する広告を規制しています。
これは、あはき法に定める療法が、病院の治療と誤解されたり、紛らわしい表現を使用したりすることを禁止するものです。
そして当然のことながら、この規制は鍼灸院の広告にも適用されます。

 

□あはき法による広告規制

あはき法では、以下のように記載できる項目を定めています。

・鍼灸師の氏名、住所
・業務の種類
・鍼灸院の名称と住所、電話番号
・施術日と施術時間
・その他厚生労働大臣の指定する事項

これ以外の内容は一切許可されないため、鍼灸師の技能や経歴も記載できないので注意しましょう。
あはき法に違反した場合の罰則は以下の通りです。
無資格、無届で鍼灸院を開業すると50万円以下の罰金となり、広告規制に違反すると、30万円以下の罰金となります。

 

□鍼灸院の広告媒体

鍼灸院の広告に使える媒体には、以下のようなものがあります。

チラシ、パンフレット、ダイレクトメール、ポスター、看板、新聞、雑誌などの出版物、電光掲示、インターネットメール、インターネット上のバナー広告、ホームページなどです。

これらの広告媒体に記載してはいけないのは、医業と誤認されるおそれのある文言です。
例えば、「治療」「医療」などの文言を使うと、医業と誤認される可能性があります。
また、「診る」「診察」「問診」「触診」「診察券」「原因究明」「医学的根拠」「専門医」なども、同様に使用できません。
診察、問診、触診などは、実際に鍼灸院でも行っていますが、これらの文言を広告に使うことは制限されています。
また、効果や効能については、「肥満解消」「老化防止」「細胞の活性化」「風邪の予防」「体質改善」「健康増進」などの表現も使えません。
ところで、鍼灸師の経歴と施術内容を広告に記載するのは、前述のように禁止されています。
しかし、ホームページ上では、鍼灸師の経歴や具体的な施術内容を記載できます。
そのため、鍼灸院の看板や宣伝用のチラシには、鍼灸師の経歴と施術内容は記載できませんが、そのかわり看板やチラシにホームページのURLを掲載して、ホームページ上で経歴や詳しい施術内容を解説するのが一般的な方法です。

 

□効能を誤解されやすい文言例

あはき法では、すべてが保険適用で施術できるような表現を禁止しています。
例えば、「当院では数百円程度の費用で施術が受けられます」といった表現は使えません。
また、「当院で施術すると、傷みが大幅に緩和します」「〇〇が確実に消えます」「〇〇が完全に治ります」など、症状の改善や完治を確約するかのような表現も禁止されています。
また、「業界最高水準の設備」「高度な施術」などの表現は、誇大広告とみなされるおそれがあります。

 

□交通事故後の傷の施術について

あはき法では、交通事故後の傷の施術において、捻挫や打撲、挫傷の施術を行えます。
また、鍼灸により頸椎捻挫後遺症などの施術も行えます。
さらに、これらの施術費用を自賠責保険に対して、請求するための手続きをすることも認められています。
しかし、この内容を広告に記載する際には、医業と誤認されないように注意しなければなりません。
施術については、「交通事故による捻挫、打撲、挫傷についてのみ施術できる」ことを明記する必要があります。
また、自動車保険から施術費用の一部が補填されることと、自動車保険に対して施術費用の代理請求ができることを、読む人が誤認しないように留意して記載しなければなりません。

 

□具体的な広告内容

鍼灸院の集客方法として、チラシを使うのが有効です。
チラシは昔から使われてきた広告媒体で、オーソドックスな宣伝方法です。
一般的な広告媒体としては、チラシのほかパンフレット、ダイレクトメール、インターネットメール、インターネット上のバナー広告、ホームページなどがありますが、手っ取り早く活用できて、しかも高い集客効果が見込めるのはチラシではないでしょうか。
上記の広告の中で、チラシ以外の広告はエリアに関係なく宣伝できる方法です。
特にインターネットメールやバナー広告、ホームページなどは、どこに住んでいる人でも広告対象にできます。
しかし、鍼灸院は直接訪れることのできる人でないと、有効な広告対象とはなりません。
つまり、あまり遠くに住む人に宣伝しても意味がないのです。
その点、チラシは新聞に折り込む広告ですから、鍼灸院がある地域の新聞に折り込めば、それなりに宣伝効果が見込めるでしょう。
新聞は、あらゆる年代層の人が手に取って目を通します。
そのため、その中に折り込まれるチラシも、家族の中のあらゆる年代層の人が見ることになります。
この点が、若い人の利用率が高く中高年層の利用が少ない、インターネットやホームページとは違います。
一般的に、鍼灸院に通いたいと思う人は若い人よりも中高年に多いので、チラシのほうがずっと宣伝効果があるのです。
また、チラシの場合は、「今は必要ないけど、そのうち必要になるかも」と思って取っておけます。
特に高齢者は、いつ腰痛やリウマチ、膝の痛みなどが発症するかわかりません。
そのため、チラシをまいてすぐに集客効果が表れなくても、徐々に顧客が獲得できるようになっていきます。

また、チラシは新聞に折り込むと費用がかかりますが、印刷したチラシを休日などを利用して、自分で近所の家のポストに配布できます。
こうすれば費用も安く、高い宣伝効果を期待できるので、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。
ただし、上述したように、鍼灸院の広告はあはき法によって厳しく制限されていますので、くれぐれも法令に違反することのないように注意しましょう。
あはき法に違反しても、ただちに処罰されることは少ないようですが、明らかに法令違反を犯すような鍼灸院は、まわりからの評価も悪くなることをしっかり認識すべきでしょう。

□まとめ

鍼灸院の広告は、あはき法によって厳しく制限されています。
それは、医業と誤認されないようにするためです。
あはき法では、下記の内容以外は表記できません。

・鍼灸師の氏名、住所
・業務の種類
・鍼灸院の名称と住所、電話番号
・施術日と施術時間
・その他厚生労働大臣の指定する事項

広告の中に、鍼灸師の技能や経歴を記載することは禁止されているので注意が必要です。
あはき法では、「治療」「医療」などの文言は医業と誤認されるために使えません。また、「診る」「診察」「問診」「触診」「診察券」「原因究明」「医学的根拠」「専門医」なども同様に禁止されています。
効果や効能については、「肥満解消」「老化防止」「細胞の活性化」「風邪の予防」「体質改善」「健康増進」なども使えないので注意しましょう。

 

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