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施術所を開業している人の中には、「幅広い年代の患者さんに来てほしい」とか「患者さんに継続して足を運んでもらいたい」と考えている方もいることでしょう。そんな方におすすめなのが、マグレイン円錐粒と呼ばれる強刺激用の貼付粒です。
今回はマグレイン円錐粒と従来のマグレインとの違いや、マグレインの貼り方、マグレインをおすすめできる人などについて解説します。マグレイン円錐粒を上手に利用すれば、施術の幅が広げられます。
マグレイン円錐粒とは
そもそもマグレイン円錐粒とは何なのでしょう。マグレインの歴史と併せて簡単に解説します。
マグレインの歴史
マグレインの歴史は古く、最初に商品化されたのは今から半世紀以上も前の1968年です。当時は身体の自然回復を補助する程度の役割しか期待されていませんでしたが、現在では一般医療機器として多くの方の健康をサポートしています。
現在のようなマグレインの形になったのが1978年のことで、マグレイン円錐粒が開発されるに至ったのはさらに43年後の2011年になってからのことです。
強刺激用の貼付粒
マグレインはもともと、6mm幅の絆創膏の帯に、6mm間隔に直径1mmの丸い鋼鉄の粒を貼り付けたもので、ハサミで適宜切って使用していました。
長時間ツボを刺激することによって、鍼灸治療と同様の効果を得るのがマグレインの目的です。中でもマグレイン円錐粒の場合、円錐状の金属が絆創膏に付着しているため、歴代の製品の中で、もっとも強い刺激を与えられる構造となっています。
三稜針を基に開発
鍼治療に使われる鍼にはいくつかの種類があり、三稜針(さんりょうしん)もその1つです。三稜針は3つの角(稜)を持つ鍼で、瀉血(しゃけつ)といった「身体の中にたまった悪い血液を排出する施術」などに用いられました。
現在では医学的根拠がないことと、医師以外は身体を傷つける治療をしてはいけないことから、瀉血は禁止されています。
マグレイン円錐粒は三稜針の形をヒントに作られた、皮膚に刺入しないタイプのツボ刺激用品です。
マグレイン円錐粒と従来のマグレインとの違い
マグレインには半世紀以上の歴史があり、その間さまざまな工夫が加えられ、その結果としてマグレイン円錐粒が登場しました。では従来のマグレインと、マグレイン円錐粒とではどのような違いがあるのでしょう。
形状
従来のマグレインは、絆創膏の上に直径1mm~1.5mmの鋼鉄の玉が乗っています。また今のように丸い絆創膏ではなく、帯状の6mm幅の絆創膏に貼り付けられており、マグレインを皮膚に貼付する際には、その都度ハサミで切る必要があります。
マグレイン円錐粒には、円錐状の鋼鉄の2mmの円錐粒が貼り付けられています。また1枚1枚独立しているので、ピンセットではがして簡単に貼れるのがメリットの1つです。
刺激の強さ
丸いものと尖っているものとでは、尖っているものの刺激が強いのは当然です。
よって、マグレイン円錐粒の方が刺激が強くなります。さらにマグレイン円錐粒はテープで貼り付けるタイプの治療器具であるため、その刺激を長時間維持できます。
大きさ
従来のマグレインは粒子が1mm~1.5mmでしたが、マグレイン円錐粒の円錐部は2mmとなっています。
マグレイン円錐粒と磁気治療具との違い
マグレインの誕生に先んじること13年、1955年に磁力を帯びたネックレスやブレスレットに血行促進効果があるとして、厚生労働省から医療器具としての認可を受けました。
その後も永久磁石が人体に及ぼす影響については研究されていますが、いまだに化学的な根拠を得るには至っていません。
マグレインは鍼治療と同様、ツボを刺激することでさまざまな効果が期待できます。ツボは毛穴1つと呼ばれるくらい小さく、熟練の鍼灸師でもない限り、正確に取穴することは難しいものです。
その点マグレインはある程度の範囲をカバーできるため、結果的にツボを正確に刺激できるというメリットが付与されました。
マグレイン円錐粒を導入するメリット
次に、マグレイン円錐粒を導入するメリットについて紹介します。
患者さんに継続して足を運んでもらえる
日常の施術にマグレイン円錐粒を導入するメリットは、患者さんに継続して足を運んでもらえることです。継続して足を運んでもらえば治療効果も高くなるため、患者さんとってもメリットとなります。
施術効果が長持ちする
鍼灸師に限ったことではありませんが、施術家にとってもっとも辛いのが「また痛くなった」という言葉を聞くことです。さらにもっと恐ろしいのが、「また痛くなった」と告げることもなく、自然にフェイドアウトしていく患者さんです。
そのような患者さんたちにマグレイン円錐粒を貼付することで、施術効果を長持ちさせることが期待できます。施術効果が長持ちすれば、「あそこの治療家はほかのところと違う」という信頼を得ることにもつながります。
マグレイン円錐粒はこんな人におすすめ!
ここまでの解説で、「自分の施術所でもマグレイン円錐粒を使ってみようかな」という気になった方もいるのではないでしょうか。実際にマグレイン円錐粒を用いる場合、以下のような人に用いるのがおすすめです。
鍼灸師のアドバイスをそのまま実践できる人
マグレインは、鍼灸師のアドバイスをそのまま実践できる人におすすめです。マグレインは健康食品やサプリメントなどとは異なり、「これを飲んだらこうなる」といった類のものではありません。
マグレイン円錐粒はあくまでも東洋医学の理念に基づいた、自己治癒力を高めるためのサポートグッズです。そのため、鍼灸師のアドバイスに従って施術を受けられる人におすすめです。
自分自身で治そうと努力する人
マグレイン円錐粒に限らず東洋医学全般に渡って言えることですが、東洋医学の理想は、その人が持っている自己治癒力を引き出すことにあります。そのため、「施術さえ受けていれば自分では何も努力しない」という人の場合、症状の改善に時間がかかります。
施術所で施術を受けて、マグレイン円錐粒を貼って帰り、さらに生活習慣を見直すなど、自分でも治ろうと努力する人にとって、マグレイン円錐粒が強い味方となります。
マグレイン円錐粒と従来のマグレインを使い分けよう
マグレイン円錐粒は最近になって開発されたマグレインの仲間ですが、従来のマグレインとくらべてどちらが優れているというものではありません。症状や体質に応じて使い分けるのが一番です。
虚証の人の場合
東洋医学では身体の状態や体質を「虚証」と「実証」の2タイプに分類します。虚証は症状の慢性化したものを意味します。どちらかというと華奢で普段から元気のない人が虚証に分類されます。
慢性的に肩こりがあるとか、胃腸の調子がすぐれないとか、全身がなんとなくだるい、などといったケースが虚証の代表的な症状です。
虚証の人の場合、あまりに強い刺激を加えると逆効果となるケースがあります。そのため、そのような人には従来タイプのマグレインがおすすめです。
実証の人の場合
虚証に対して実証は、「普段は元気な人が風邪をひいたような状態」です。比較的がっしりしとした体型をしている人に実証が多く見られます。
症状に関しては、炎症を起こしていて、押すと痛いようなケースが実証に分類されます。例えば寝違えやぎっくり腰などが代表的な症例です。そのような人にはマグレイン円錐粒がおすすめです。
マグレイン円錐粒を使う際の注意点
マグレイン円錐粒は皮膚に刺入する鍼とは異なるため、比較的安全に取り扱えます。ただしいくつかの注意点があります。
色素沈着に気をつける
マグレイン円錐粒を貼ったところに強い紫外線を浴びた場合や、マグレイン円錐粒を貼付したのが高齢者の場合、色素沈着を起こす可能性があります。そのような場合には、半日以内に剥がすように指導してください。
かぶれたら使用を中止する
マグレイン円錐粒は絆創膏で貼り付けるため、人によってはかぶれを生じることもあります。そのような際にはすぐ剥がすように指導してください。
マグレイン円錐粒は上手に使おう!
・従来のマグレインと比べ、マグレイン円錐粒はツボに対して強い刺激を与えられる
・マグレイン円錐粒は先端がとがっているため、鍼治療と似た効果が期待できる
・マグレイン円錐粒を用いることで、再来院を促しやすくなる
マグレイン円錐粒には施術効果を高めたり、お客さんの満足度をより高めたりするメリットがあります。従来のマグレインよりも刺激が強いため、普段元気な人の急性疾患などに利用するのがおすすめです。上手に使って施術の幅を広げてください。