鍼灸の施術というと、一般的には痛みやコリを緩和することが目的ですが、最近は美容方面に着目した施術をおこなっている鍼灸師も増えています。また円皮鍼などの置き鍼をうまく利用し、来院回数増につなげている鍼灸師さんもいます。

そこで今回は、美容鍼の上手な使い方について解説したいと思います。中でも円皮鍼をうまく使えば、あなたの施術所に来られる患者さんの数を増やしたり、患者層を拡大したりすることが期待できます。

美容鍼とは

美容鍼 とは最初に美容鍼とはいったいどのような鍼治療なのかについて見ていきます。美容鍼に用いられる鍼の種類や、美容鍼でアプローチするポイントも紹介します。

美容目的でおこなわれる鍼を用いた施術

美容鍼とは、美容目的でおこなわれる鍼を用いた施術全般のことです。広義の美容鍼は、全身の美容目的でおこなう鍼を用いた施術のことですが、狭義の美容鍼は主に顔周辺の美容目的でおこなう施術です。

美容鍼に用いられる鍼の種類

美容鍼に用いられる鍼の種類は実にさまざまです。一般的な鍼治療に用いられるディスポ鍼を使うケースもありますし、鍼の付いていないローラー鍼集毛鍼といった鍼をつかうケースもあります。

また置き鍼(おきばり)の一種である皮内鍼円皮鍼を使うケースもありますし、金粒銀粒といった、小さくて丸い金属を使うケースもあります。

美容鍼でアプローチするポイント

美容鍼でアプローチする場所は、およそ美容効果が表れるのであればどこでも構いません。。ただ、狭義の美容鍼という意味では、顔周辺がアプローチポイントです。

美容鍼を円皮鍼でおこなうメリット

美容鍼 メリット

次に、美容鍼を円皮鍼でおこなうメリットを紹介します。

施術効果が長持ちする

一般的な美容鍼の場合、ディスポ鍼(使い捨ての鍼)と鍼菅(しんかん:鍼を打つ時に用いる円筒状の管)でツボを刺激し、数分間放置するのが一般的です。

鍼を患部に長時間刺しておくような施術法を留置鍼(りゅうちしん)と言います。留置鍼は通常、10分から20分ほど鍼を刺しっぱなしにしますが、数時間以上貼ったままにできる円皮鍼の方が、施術効果を長持ちさせることが期待できます。

昨今、鍼灸院でも美容鍼のニーズが拡大傾向にあります。それだけ東洋医学の理念である「未病」に関する理解が進んでおり、また個々人の美に対する意識が高くなっているのです。

患者さんに足を運んでもらいやすくなる

鍼灸の施術者に割と多いのが、次回の来院を促すことが苦手というケースです。鍼灸の施術は西洋医学の手術療法のように、すぐに効果が表れるものではありません。なぜなら、その人の体質改善を目的としているからです。

ただ、患者さんの方はすぐに目に見える効果を期待しがちです。この辺りの温度差のため、患者さんがいつの間にかフェイドアウトしてしまう、という事例が後を絶たちません。

ところが、円皮鍼を持ちいて施術をおこなった場合、円皮鍼を貼っている間、効果が持続するため、患者さんの方でも施術効果を実感しやすくなります。そのため、患者さんに再び足を運んでもらいやすくなるのです。

患者さんの心理的サポートにつながる

鍼灸に限ったことではありませんが、施術者にとってもっとも聞きたくない言葉の1つが「すぐに元に戻ってしまう」という言葉です。

「マッサージをしてもすぐに元に戻る」とか「鍼の治療は、その場は気持ちいいけど2、3日すると元に戻る」などと感じている患者さんは多いものです。

その点、円皮鍼は長時間にわたって貼っていられるため、患者さんは鏡をのぞくたびに施術効果を実感できます。

特に美に対する意識の高い女性は、根気強く施術を継続してくれます。そのような女性に施術所での鍼治療にプラスして円皮鍼を貼ってあげれば、心理的なサポートにつなげられるのです。

施術者の心身の負担が少ない

通常の鍼治療には集中力が求められるため、施術者の心身の負担が大きいです。もちろん、円皮鍼を貼る際に集中力が要らないという訳ではありません。

ただ円皮鍼の鍼は通常の鍼よりもかなり短いので、通常の鍼ほどのリスクがありません。また施術時間も非常に短いため、施術者の心身の負担を減らせるメリットがあります。

施術の幅を広げられる

鍼治療というと、どちらかというと中高年が受けるイメージを持つ人もいると思います。実際には若い人でも鍼の施術を受ける人がいますが、マッサージや整体に比べると人数が少ないようです。

ただ美容目的で円皮鍼を導入することによって、これまで鍼治療に興味がなかった若い女性層を取り込むことが期待できます。また美容に対する意識の高い中高年女性にもアピールすることが可能です。

手数を減らせる

円皮鍼はシールと一体になっており、シートから剥がしてすぐに使えるようになっています。そのため、鍼管とディスポ鍼でおこなう通常の鍼治療に比べ、はるかに手数を減らすことが可能です。

手数が減ることでより多くの患者さんを見られますし、施術者自身の精神的消耗を抑えることも可能です。

美容鍼を円皮鍼でおこなう際に期待できる効果

美容鍼 円皮鍼 効果

美容鍼を円皮鍼でおこなうとどのような効果が期待できるのでしょう

肩こりや首こりの緩和

美容鍼を円皮鍼でおこなうと、肩こりや首こりを緩和する効果が期待できます。「肩こりや首こりと美容に何の関係があるの?」と思われるかも知れませんが、肩こりや首こりがあると、姿勢が悪くなって周囲に老けた印象を与えます。

また肩こりや首こりによって顔へと送られる血液量が減少し、「顔色が悪い」状態になりますし、首こりを放置していると寝違えのリスクも高くなります。

さらに、肩こりや首こりのため顔への血流が減少すると、吹き出物やニキビ、角栓といったトラブルも現れやすくなります。

円皮鍼と似た役目を持つ鍼に皮内鍼と呼ばれるものがありますが、皮内鍼はどちらかというと刺激が弱いのに対し、円皮鍼は患部に強い刺激を与えることができます。そのため、深い部分の肩こりや首こりに高い効果を発揮するのです。

美顔効果

狭義の美容鍼は顔のツボを対象としておこなわれますが、顔のツボを刺激することによって、さまざまな美顔効果が期待できます。

例えば顔のツボを刺激することで顔への血流が増せば、ターンオーバーが活発になります。ターンオーバーとは皮膚の新陳代謝のことで、細胞が生まれ変わることによって、お肌にハリやツヤが生まれるのです。

お肌にハリやツヤが生まれれば、お化粧のノリも良くなります。お化粧のノリがよくなれば、化粧品をあまり使わなくても済むようになるため、顔の肌環境悪化のリスクを下げられると言う訳です。

小顔効果 

顔の大きさに悩まされている女性のほとんどに、顔のむくみが見られます。顔のむくみは、顔の血行が悪くなり、老廃物が溜まることによって起こります。

円皮鍼を用いた美容鍼によって顔の血行が良くなれば、老廃物を体外に排出することができます。その結果として小顔効果が得られるのです。

アンチエイジング

円皮鍼を用いた美容鍼の刺激によって「ポリモーダル受容器」が興奮すると、繊維芽細胞(せんいがさいぼう)が増殖します。

繊維芽細胞はエラスチンやコラーゲン、ヒアルロン酸といった成分を生みだす結合組織を構成する細胞です。

そのため、繊維芽細胞が増殖すれば年齢とともに失われがちなエラスチンやコラーゲン、ヒアルロン酸が産生されやすくなり、アンチエイジング効果が期待できるのです。

眼精疲労の緩和

「目は口ほどに物を言う」と言われますが、目が疲れていると全身の疲労につながりますし、なにより見た目が老けて見えます。

特に目の下にクマができてしまうと、疲れた印象や老けた印象を与えます。円皮鍼によって眼精疲労のツボを刺激することで、眼精疲労の緩和効果が期待できます。

美容鍼をするなら円皮鍼も検討してみよう!

・円皮鍼はシールと一体になっているため、時間をかけずに施術できる
・円皮鍼にはさまざまな美容効果が期待できる
・美容目的で円皮鍼を導入することで、患者層拡大が期待できる

円皮鍼はシールと一体になっており、シートから剥がしてすぐに使えます。円皮鍼を上手に使うことで、さまざまな効果が得られるだけでなく、患者さんの再来院を促しやすくなります。

また、円皮鍼は通常の鍼よりも手数が少なくて済むため、施術者の心身の負担も軽くできます。これから美容鍼を始める方は、円皮鍼の使用も検討してみてはいかがでしょう。

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