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施術所を営んでいる人の中には、電動のベッドに興味をお持ちの方もいると思います。電動ベッドには高さを変えたり、リクライニングさせたりできるものもあるので、施術師の負担を減らすことができます。
整体ベッドを電動にするとメリットがたくさんありますが、反面、デメリットもあるものです。そこで今回は整体ベッドを電動にするメリットとデメリット、また電動ベッドのタイプなどについて解説します。
電動の整体ベッド2つのタイプ
電動の整体ベッドには大きく分けて2つのタイプがあります。
電動ハイローベッド
電動ハイローベッドは、ベッドの高さを調節することができます。足元にあるフットスイッチを踏むことで、45cmから85cm程度に高さを変えられます。
ただ、電動で高さを変えるときに、気になるのが“音”です。せっかくリラックスして施術を受けているのに、モーター音が耳につくと患者さんに不快感を与えてしまうでしょう。
しかし、海外製の電動ハイローベッドの場合、そのような苦情もあるようですが、国産のものに関しては、メーカー各社にそのような問い合わせはほとんどないようです。
電動リクライニングベッド
電動リクライニングベッドは、仰向けに寝ている患者さんの上半身の高さを変えられます。ハイローベッドと同様、足元にあるフットスイッチを踏むことで、ベッドの角度を調節することが可能です。
また、電動リクライニングベッドのほとんどが昇降機能も兼ね備えているので、施術しやすいような高さに調節することが可能です。
整体ベッドを電動にする3つのメリット
施術しやすい
電動タイプの整体ベッドは高さを調節できるため、どんな身長の施術師であっても、施術しやすいというメリットがあります。
例えば、施術所には身体の大きな男性が来ることもあります。通常のベッドだと患者さんの身体が高い位置にくるため、効果的に押圧刺激を加えるのが困難ですが、ベッドの高さを低くすれば、身体の大きな患者さんにも対応可能です。
また、整体師の多くが腸腰筋(ちょうようきん)の調整をおこないますが、その時にリクライニング機能があると、腸腰筋を緩めやすくなります。
患者さんがベッドから降りやすい
電動リクライニングベッドで患者さんの上半身を起こしてあげると、患者さんがベッドから降りやすくなります。
整体の施術を終えたときにありがちなのが、「はい、起きてください」といって患者さんが起き上がったときに「痛い!」となることです。
このようなケースは、腰痛持ちの患者さんや寝違えの患者さんに多く見られます。せっかく施術をして一定の効果が得られているのに、最後に患者さんに痛い思いをさせてしまうと、今までの努力が水の泡となりかねません。
ですが、電動で上半身を起こしてあげると、患者さんは無理に身体を動かす必要がありません。患者さんが身体に力を入れないので、痛みが生じるリスクを避けられます。
幅広い症状に対応できる
病院に専門の科があるように、整体師にも得意な施術分野があります。逆にいうと、苦手な施術分野があるとも言えます。例えば「頭痛の改善は得意としているけど、急性の腰痛や頚椎ねんざは苦手」といったケースです。
特に急性の腰痛(いわゆるぎっくり腰)や頚椎ねんざ(寝違え)は痛みが強く、施術ですぐ痛みが取れることも少ないため、整体師を悩ませる疾患の1つとなっています。
また、実際にぎっくり腰や寝違えの施術をおこなった場合、通常の整体ベッドだと、起き上がるときに痛みを生じるケースがあります。
そのような時にベッドを電動でリクライニングできれば、患者さんの腰や首に負担をかけずに起き上がらせることが可能です。
このように、電動リクライニングベッドがあると、慢性疾患だけでなく、急性の症状など幅広い症状に対応することが可能となります。
整体ベッドを電動にするデメリット
整体ベッドを電動タイプにするとメリットばかりのような気がしますが、デメリットもあります。
場所を取る
電動タイプの整体ベッドにはモーターがついているため、通常のベッドよりもサイズが大きくなります。そのため場所をとるというデメリットがあります。
値が張る
電動タイプの整体ベッドは、通常の整体ベッドに比べ値が張る傾向にあります。そのため、整体ベッドにお金をかけられない人にとっては手が出しにくいでしょう。
重い
電動タイプの整体ベッドは通常の整体ベッドよりも重いので、一度設置すると移動させるのに時間がかかります。そのため、施術所のレイアウト変更が困難です。
施術しづらいケースもある
電動タイプの整体ベッドは、通常の整体ベッドよりも幅広のものが多いため、施術師の体格によっては、施術しづらいケースもあります。
故障のリスク
通常の整体ベッドの場合、故障はまず起こりませんが、電動タイプの整体ベッドにはモーターやケーブルが用いられているため、故障のリスクがあります。
ただ、最近の電動ベッドはメンテナンスをしやすい設計になっているため、機械に詳しくない人でも簡単に新しい部品に取り換えられます。どうしても自分では治せない場合、修理担当者に任せることとなります。
掃除がしづらい
電動タイプの整体ベッドは重いものが多いため、気軽に動かすことができません。そのため、ベッドの下や周りの掃除がしづらくなります。
電動タイプの整体ベッドはこんな人におすすめ
ぎっくり腰など急性の疾患が苦手な施術師
病院や整形外科を受診して腰痛が治らなかった人の中には、最後の頼みの綱として整体を受診される方も多いです。特にぎっくり腰の場合、病院や整形外科では満足できずに整体院を訪れる方も多いようです。
実際にぎっくり腰の患者さんの施術をおこなった際、身体にもっとも負担がかかるのが施術を終えて身体を起こす時です。
仮に電動リクライニングベッドがあれば、患者さんが起き上がる時の負担を最小限に減らすことが可能です。起き上がるときに痛みが出なければ、施術の効果を実感してもらいやすくなります。
中高年の施術師
整体師の中には若いうちから専門学校に通う人もいますが、脱サラして整体師になる人も少なくありません。また運動経験がないという整体師さんもいると思います。
そのような場合、問題になるのが体力です。整体の施術は基本的に立っておこなうため、たくさんの患者さんを見るにはある程度の体力が必要なります。
そんなとき、電動ベッドの高さが調節できれば、最小限の力で最大限の押圧刺激を加えることが可能です。その結果、体力の消耗を最低限に抑えることができるのです。
高齢者層に安心して施術を受けてもらいたい施術師
整体院に来られる患者層はいろいろですが、一般的に高齢の方は、整体院で施術を受けるより、整形外科を受診するケースが多いです。
もし高齢者層に安心して施術を受けてもらいたいのであれば、電動のリクライニングベッドがあると有利です。なぜなら、高齢者の方は筋力が弱っているため、身体を起こすのが困難だからです。
高齢者の方に合った押圧刺激で気持ちよく施術を受けてもらい、無理なく身体を起こしてあげられれば、「年齢だから仕方ない」と諦めている方をサポートできます。
経済的余裕がある方
電動タイプの整体ベッドは、通常の整体ベッドよりも高額であることがほとんどであるため、経済的余裕がある方におすすめです。
施術所のスペースが広い方
電動タイプの整体ベッドは、通常の整体ベッドよりも場所をとります。仮にワンルームマンションなどで施術所を開業するのであれば、電動タイプの整体ベッドより、通常の整体ベッドの方がよいでしょう。
スペースに余裕があるなら、電動タイプの整体ベッドもおすすめです。
電動タイプの整体ベッドで施術の幅を広げよう!
・電動の整体ベッドにはハイローベッドとリクライニングベッドの2種類がある
・電動タイプの整体ベッドを使うと施術師の負担が少なく患者さんも上り下りが楽
・電動タイプの整体ベッドには重くてスペースをとるというデメリットもある
・電動タイプの整体を導入すれば施術の幅を広げられる
電動タイプの整体ベッドは、足もとのフットスイッチを踏むことで、簡単に高さを変えたり、リクライニングさせたりすることが可能です。そのため、患者さんの身体に負担をかけないだけでなく、施術師も無理のない姿勢で施術に臨めます。
電動タイプの整体ベッドには重くてスペースをとるといったデメリットもありますが、それを上回るだけのメリットがあります。特に高齢化が叫ばれる昨今、ご高齢の方の施術をするのに、電動タイプベッドが強い味方となってくれます。