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昔の家庭では、もぐさが置かれていることも珍しくありませんでしたが、最近はもぐさを使う家庭は減ってきているようです。もぐさというと「熱い」「怖い」というイメージを持つ人もいるでしょう。
ただ、もぐさはコツさえつかんでしまえば、熱くも怖くもなく、初心者でも安心して利用できます。そこで今回は、もぐさの使い方や、使用上の注意点などについて解説します。
もぐさってどんなもの
最初に、お灸に使われるもぐさについて簡単に紹介します。
ヨモギの葉から作られたもの
お灸に使われるもぐさはヨモギの葉から作られています。ヨモギの葉は生薬として用いられたり、傷薬として利用されたり、ハーブとして用いられたり、洋の東西を問わず私たちの身近にあって役立ってきました。
ヨモギの葉の裏には白い綿毛がついており、この綿毛がもぐさの原料になります。ヨモギにはシオネールという精油成分が含まれているので、お灸にとても適しているのです。
もぐさの歴史
お灸の歴史はとても古く、かの有名な中国の三国志にもお灸を据えるシーンが登場するほどです。
日本には奈良時代に伝わり、西洋医学が主流となるまで、我が国の医療を支えてきました。
もぐさを使う際の注意点
もぐさは火の付きが良い割には、突発的に燃え上がるようなことがないため、家庭でも比較的安全に用いることが可能です。ただ、使用にあたってはいくつかの注意点があります。
線香を使って火をつける
お灸をするときには、もぐさを米粒大、もしくは米粒の半分程度の大きさにひねってまとめます。そして、筋肉が固くなっている場所や身体の冷えている場所、ツボの場所に置いたうえで火を付けます。
その際、マッチやライターで火をつけるとやけどをする危険性が高いので、お灸用の線香に火をつけ、線香の先でもぐさに火を付けましょう。お灸用の線香は、一束(60本)260円と、比較的リーズナブルなお値段で購入可能です。
水を張った洗面器を用意しておく
お灸に慣れないうちは、どれくらいもぐさが燃えてから取っていいか分からないこともあるでしょう。場合によってはもぐさを焼き尽くしてしまい、熱くて手で払ってしまうこともあるかもしれません。
もぐさ程度の火でも、カーペットやじゅうたんが焦げてしまう可能性はあります。
そのようなリスクを避けるため、お灸をするときには水を張った洗面器を用意しておき、とっさの時には火のついたもぐさを洗面器に落として火を消しましょう。
熱いと感じたらすぐに取る
マッサージが好きな人の中には、「刺激が強ければ強いほどよく効く」と思っている人がいますが、お灸に関しても「熱い方が効く」と考える人がいるようです。
ただ、熱いのを無理に我慢していると、やけどのリスクが高まります。そのため、自分でお灸をするときには「ポカポカして気持ちよい」程度の熱さにし、やけどをしないように注意しましょう。
灸あたりしないよう気を付ける
人間の身体にはドーゼ(刺激量)というものがあり、その人その人に合った刺激量でお灸をすることが重要です。ドーゼに対する概念の1つに、「アルントシュルツの法則」と呼ばれるものがあります。
それによると、『弱い刺激は生命活動を活性化させ、中等度の刺激によって生命活動の活性ががさらに促進される』ということです。ただ『強度の刺激によって組織の働きを抑制し、強すぎる刺激によって生命活動を停滞させて』しまいます。
つまり、強すぎる刺激は生命活動を維持するうえで妨げになるということなのです。熱すぎるお灸によって「灸あたり」が起きないよう、刺激量をコントロールしましょう。
もぐさの使い方をもっと知りたい!
お灸に慣れてくると「もっとお灸の効果を高めたい」とか「症状別におすすめのツボを知りたい」などという欲求が出てくるでしょう。そんな時には以下のような方法がおすすめです。
鍼灸院で教えてもらう
もぐさの使い方をより詳しく知りたいのであれば、お灸のプロフェッショナルである鍼灸師の方に教えてもらうのが一番です。
実際に治療を受けて見るもの良いでしょうし、鍼灸師が開催するセミナーに参加するのも良いでしょう。
ショールームのお灸教室に参加する
お灸を販売しているメーカーの中には、ショールームでお灸教室を開催している所もあります。
ショールームではもぐさはもちろん、皮膚にもぐさが直接触れない間接灸や台座灸、火を使わないお灸なども取り扱っています。
また、お灸の正しい使い方やツボの探し方も教えてくれるので、これからお灸を始めてみたい人はもちろん、よりお灸に詳しくなりたい人にもおすすめです。
動画をチェックしてみる
最近はインターネットでもお灸に関するサイトやホームページなどがたくさん見られます。特におすすめなのがYouTubeなどの動画サイトです。
ツボの位置やもぐさの大きさなどが実際に目で確認でき、とてもわかりやすいです。
有痕灸の使用方法
お灸には大きく分けて有痕灸(ゆうこんきゅう)と無痕灸(むこんきゅう)の2つの使用方法があります。最初に代表的な有痕灸を紹介します。
透熱灸
透熱灸(とうねつきゅう)は、米粒大もしくは米粒の半分の大きさにひねったもぐさを皮膚に乗せ、焼き切ってしまうお灸法です。
本来、お灸というとこの方法を指すのですが、熱いので最近はあまりおこなわれていません。
焼灼灸
焼灼灸(しょうしゃくきゅう)は、胼胝(タコ)や魚の目を取るためのお灸法です。タコや魚の目の上にお灸を乗せては焼き、皮膚の角質化した部分を焼き落とします。
角質化した部分にきちんととお灸を乗せてあれば、熱さを感じることはありません。ただ、最初は難しいと思うので、鍼灸院の先生に教えてもらうと良いでしょう。
打膿灸
打膿灸(だのうきゅう)は、親指の腹ほどのもぐさを皮膚の上に乗せ、焼き切ることであえてやけどを作るお灸法です。
やけどをした場所に膏薬(こうやく)を貼って膿を出し、身体の免疫機能を高めるのが目的です。ただ、刺激が強く、大変な危険がともなうので、鍼灸院の先生の指導下でおこないましょう。
点灸
点灸(てんきゅう)は透熱灸と同じく、もぐさを患部に乗せて焼き切るお灸法ですが、最近は焼き切る前に取ってしまうことが多いようです。
無痕灸の使用方法
無痕灸は皮膚にお灸の痕が残らないお灸法です。見た目が気になる方はもちろん、熱いのが苦手な人にもおすすめです。
知熱灸
知熱灸(ちねつきゅう)は、「熱」さを感「知」したらお灸を取り去る灸法です。米粒大か、米粒の半分の大きさにひねったもぐさを患部に乗せ、火をつけて8割方燃えたらお灸を取ります。
隔物灸
隔物灸(かくぶつきゅう)は、身体にとって有効な成分を含む植物などを患部の上に置き、その上にもぐさを置いて火をつけるお灸法です。
患部の上に置くものとしては、血行を促進する効果が期待できるショウガやニンニク、免疫力を高める効果が期待できるビワの葉などがあります。
棒灸
棒灸は現在の中国で主流となっているお灸法で、棒状にまとめて紙で巻いたお灸に火をつけ、その輻射熱で患部を温めるのが特徴です。
症状別!もぐさを置くのにおすすめの場所
何らかの症状を改善するのにおすすめのツボはたくさんあるのですが、自分でお灸をする場合、安全におこなうことが重要です。
そこで、自分でもお灸が据えられるおすすめのツボを症状別に紹介します。
肩こり
肩こりのツボは肩の周辺にたくさんあるのですが、自分でお灸を置くのは大変ですし、どれくらい燃焼したか確認するのが困難です。
そんな時におすすめなのが合谷(ごうこく)のツボです。合谷のツボは東洋医学の世界で万能穴(ばんのうけつ)とされており、様々な効果が期待できます。
合谷の場所は、手の親指と人差し指の骨が交差する場所にあります。小指側に向かって押したときに、鋭い痛みを感じる場所が合谷にあたります。
腰痛
腰痛のツボも腰の周辺にたくさんあるのですが、肩のツボ以上に一人でお灸をするのが困難です。ただ、腰痛のツボも手にあるのでご安心ください。
手にある腰痛のツボは「腰腿点(ようたいてん)」で、手の甲を上にして人差し指の骨と中指の骨が交わる点、および薬指の骨と小指の骨が交わる点にあります。
冷え性
冷え性の改善には「太衝(たいしょう)」のツボがおすすめです。太衝のツボは足の甲を上にし、親指の骨と人差し指の骨が交差する場所にあります。
もぐさを使って身体をセルフケアしよう!
・お灸は精油成分を含むヨモギの葉から作られている
・自宅でお灸をするときには火の取り扱いに注意し熱いと感じたらすぐに取る
・お灸についてもっと知りたいときには専門家に相談するのが良い
・自分でお灸をするのなら痕の残らない無痕灸がおすすめ
お灸は古くからおこなわれている漢方治療の一種で、温熱効果による血行促進効果と、精油成分によるリラクゼーション効果が期待されています。
もぐさの可燃性は高いものの、ゆっくりと燃焼するため、火の取り扱いに注意すれば自宅でお灸を楽しむことが可能です。
自分でお灸をするのなら、痕の残らない無痕灸もおすすめです。ポカポカと温かい程度の刺激で気持ちよくセルフケアしましょう。
メイプル名古屋では様々な種類のお灸を取り扱っております。
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