オートクレーブをご存知ですか?
鍼灸院を開業する際に、オートクレーブの導入をお考えの方は多いです。
オートクレーブとはどのようなものなのでしょうか。
意外とそのメリットについて把握していないと言う方もいらっしゃいます。
オートクレーブの特徴を把握しておきましょう。
今回は、オートクレーブについて紹介します。

□オートクレーブとはどのようなものか

オートクレーブとは、内部を飽和蒸気によって高温高圧にできる装置や、その処理のことをいいます。
一見鍼灸院には関係のなさそうな行為にも思えます。
ご存知の方も多いとは思いますが、この処理は非常に大切なものです。
どのような場合に行うのでしょうか。
鍼灸院では治療機器を滅菌する際に用います。

滅菌とはどのような状態を指すのでしょうか。
なんとなくきれいになればいいとお考えの方もいらっしゃいます。
しかし、滅菌には明確な定義があります。
滅菌とは、全ての微生物を死滅、除去することです。
ちなみに、消毒は殺菌と同じ意味ではありません。
病原性微生物を死滅、除去することを言います。

鍼灸院では衛生は大切な要素のため、機器の滅菌にはこだわりたいです。
最近では鍼や手袋は全て使い捨ての鍼灸院も多いです。
しかし、鍼を置くシャーレなどは、どうしても使い捨てにはできないという場合も多いです。
また、鍼も使い捨てでないものを使っている鍼灸院も少なくありません。
このような殺菌の必要な器具を殺菌するのに最適なのがオートクレーブです。

しかし、実際にはオートクレーブはどのように殺菌をしているのでしょうか。
オートクレーブとは、飽和蒸気による殺菌機器です。
内部を高圧高温にして殺菌を行います。
菌が高温多湿に弱いと言うことはご存知でしょうか。
この環境を作り出して、殺菌を行います。

高温多湿と言われてもイメージがつきにくいと思いますが、オートクレーブは、大きな圧力鍋をイメージしてもらえればわかりやすいです。
構造としては、容器の底に水を入れる場所とヒーターが設置されています。
容器に入れた水をヒーターで熱し、それを内部に閉じ込めて高温かつ多湿な環境を作り出します。

具体的にはどのように殺菌が行われるのでしょうか。
水をヒーターで熱しつづけて、容器の中を100度以上の水蒸気で満たし、器具を殺菌します。
一般的に、115度で30分間、121度で20分間、126度で15分間、134度で10分間が滅菌に必要な時間と温度だとされていて、オートクレーブではこの環境を簡単に作り出せます。
水だけで殺菌ができるため、これと言って特別な手順もなく、危険性も少ないです。

オートクレーブにはさまざまなサイズがあるため、高温高圧環境が必要な場合に重宝されています。
鍼灸院以外にはどのような場所で導入されているのでしょうか。
研究室や病院に多数導入されています。
研究室で研究する際や、病院での滅菌に数多く導入されているため、実績十分な機器と言えるでしょう。

□オートクレーブを用いるメリット

オートクレーブは非常に優れた殺菌機器です。
しかし、具体的にどこが優れているのでしょうか。
もちろん水だけで殺菌できると言う点も魅力でした。
しかし、水だけで殺菌できると言うメリットだけではもの足りないですよね。
その他にもさまざまなメリットがあります。
オートクレーブのメリットについて紹介します。

使える場所が限られているほど高性能で、作りが複雑で手入れが大変な機器は、簡単には手が出しにくいです。
また、手入れが大変な機器も面倒です。

しかしオートクレーブは、使える場所の多い機器です。
場所を気にせずに使えるため、汎用性が高く、鍼灸院の構造が決まってないうちからでも導入しやすいです。
また作りも複雑ではないため、手軽に導入できます。
特別な薬剤などを用いているわけでもないため、手入れも簡単です。

また、オートクレーブには小型のものから大型のものまでさまざまな選択肢があります。
そのため、置き場所にも困らず、鍼灸院の間取りに苦労しません。
種類が豊富なため、数万円〜数十万円と幅広い価格帯で取り揃えられています。
当社では17万円代~40万円代のオートクレーブを用意しています。
滅菌できるものが多いという特徴から、病院や研究室に多く導入されているため、鍼灸院にも最適な機器の1つと言えます。

□オートクレーブの使用方法

使用方法を把握すれば、オートクレーブを導入した後のことがリアルに想像できます。
どのように使うのかを確認しておきましょう。
大まかな流れは、ドレントラップに水を入れ、滅菌用水道水を補給し、滅菌するものを収納します。
そして、缶体ふたを確実にロックし、温度・時間を設定したら、スタートキーを押し、滅菌を開始します。

滅菌するものを収納する際には、滅菌カゴを使用するのがおすすめです。
しない場合、缶体内にある排気の穴や温度センサーに強い力を加えないよう注意しましょう。
滅菌終了後はすぐに缶体を開けてはいけません。
缶体内の蒸気が排出され、圧力が元に戻ってから取り出しましょう。

当社で取り扱っている商品の中には、コンピュータ制御で、フルオートで殺菌を行うものもあります。
確実な殺菌が行えて、メンテナンスも簡単です。

□治療器具の安全管理について

オートクレーブはさまざまな点で魅力的な滅菌機器でした。
では、オートクレーブのみで滅菌すれば衛生管理は完全なのでしょうか。
鍼灸院で用いる器具の衛生管理は、オートクレーブだけでの滅菌処理だけでは不十分です。
鍼灸院で用いる器具の多くには、患者さんの体液が付着します。
体液が付着する場合、タンパク質の除去が必要ですが、オートクレーブでの滅菌処理では、タンパク質の処理ができません。

タンパク質が付着する器具の例に、シャーレが挙げられます。
タンパク質の付着した器具では、アレルギーのリスクが少し上昇すると言われているため、タンパク質を除去しなければいけません。
オートクレーブでの滅菌後に、表面を拭いてタンパク質を除去している場合もありますが、タンパク質の除去はオートクレーブを使用する前に行いましょう。

使用済みの鍼を置いたシャーレは薬液に浸漬して、超音波洗浄しましょう。
そうして、たんぱく質を固着することなく取り除いた後にオートクレーブで滅菌しましょう。

また、使い捨てでない鍼を使用する場合にも同じ手順が必要です。
鍼体にたんぱく質が固着したままオートクレーブ滅菌だけを繰り返してはいけません。
もちろん、アレルギーのリスクが上昇するという理由もあります。
その他にも、鍼の酸化を促し耐久性が低下するというリスクもあります。

たんぱく質を除去することなくオートクレーブ滅菌し、その後にアルコール綿花などで拭うことで対応していることがあるかもしれません。
しかし、それでタンパク質が取り除けるとは思わない方が良いでしょう。
必ず、オートクレーブの前に薬液にてタンパク質を取り除きましょう。

また、器具の殺菌ももちろんですが、術者の手の消毒も大切です。
手はオートクレーブで滅菌するわけにはいけません。
必ず手洗いを丁寧に行い、アルコールでの消毒を行いましょう。

□まとめ

今回は、オートクレーブについて紹介しました。
オートクレーブは滅菌においてとても魅力的な機器でした。
水だけで滅菌が行えて、大きさや価格帯が豊富なオートクレーブは、鍼灸院に最適の機器でした。
鍼灸院の開業予定のある方は、ぜひこの記事を参考にしてオートクレーブの導入をお考えください。

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